PoE の概要とその仕組み
PoE (Power over Ethernet) を使うと、電源コンセントやアダプタなしで、ネットワークケーブルからネットワーク上の任意の機器に電力を供給できます。PoE はケーブル 1 本でネットワークへの接続と電力供給の両方を可能にします。
その仕組みはシンプルです。CAT5e (またはそれ以上)の規格に適合するイーサネットケーブルは、1 本につき 4 対のツイストペアケーブル(2 本のワイヤをねじり合わせたもの)で構成されています。PoE ではこれらのワイヤペアを通して PoE 対応機器に電力を供給します。1 つの方式では、2 対のワイヤペアでデータを送信し、残りの 2 対で電力を供給します。もう 1 つの方式では、電力供給とデータ送信の両方を同一のワイヤペア上で行います。
電力供給とデータ送信の両方を同一のワイヤペアで行う場合、電力伝送とデータ伝送は互いに干渉しません。これを「ファントム給電」と呼びます。ファントム給電は、各ペアに同相電圧を印加することによって、データ伝導体上に電力を流して実現されます。ツイストペアのイーサネットは差動信号方式のため、データ伝送は影響されません。標準的なイーサネット用パルストランスのセンタータップを使用して、同相電圧を抽出します。
PoE 対応機器の例としては、セキュリティカメラ、デジタルサイネージ、ビデオ会議システム、無線アクセスポイントなどが挙げられます。
PoE のパフォーマンスを最大限にするには、放熱効率を向上し、ケーブル内の温度を下げ、一定の温度に保つ必要があります。ケーブルの温度が上昇すると電気的性能が低下します。放熱性能の向上は、物理的性能と耐用年数を向上するために不可欠です。
発熱を最低限に抑えるためのポイント
ケーブルの温度定格
ケーブルの温度定格は、絶縁/被覆材が耐えることのできる温度を示しています。PoE に使用するケーブルには、60℃ より高い温度定格が必要です。一般的なケーブルの温度定格は、60℃、75℃、90℃ です。
導体サイズ/抵抗
発熱の 1 つの原因は、PoE アプリケーションにおける導体抵抗です。導体抵抗を改善するには、導体サイズの大きいケーブルを使用してください。CAT6A ケーブルは、CAT5e ケーブルよりも導体サイズが大きく、低抵抗です。ケーブルの導体サイズが大きければ大きいほど、導体抵抗を抑えられます。
シールドと被覆
PoE アプリケーション用のツイストペア銅線は、通常、F/UTP (ケーブル外被内に 4 対のツイストペアを何らかのシールドで覆った構造)です。UTP (シールドなしのツイストペアケーブル)は放熱効率が良くないため、PoE アプリケーションには推奨されません。
設置
設置方法と環境条件は、PoE のパフォーマンスに大きな影響を与えます。温度上昇を防ぐため、ケーブルに熱がこもるような状況は避けてください。多くのケーブルを束ねたり、ケーブル同士を密接させて束ねたり、一般に認められているガイドラインに適合しない構成または設置はいけません。
PoE ケーブルにおけるもう 1 つのポイント:挿入損失
PoE に使用するケーブルの安全性と性能について考える上で挿入損失が重要なポイントになることがあります。挿入損失は、送信された信号電力に対する、受信した信号電力の比として計算されます。電力量が大きいほど、挿入損失量は大きくなり、ケーブル温度が上昇してケーブルの破損につながります。
CAT6A – PoE 用の間違いない選択
ネットワークの性能は、適切なケーブルソリューションの選択にかかっています。必要なときに必要な場所へ、高速な接続と電力を供給できるようなケーブルを選ぶ必要があります。CAT6A ケーブルは、医療機関、教育機関、軍事用途などのニーズを満たすことができる、将来性のあるテクノロジだと考えられます。
- 単線 LAN ケーブルは他の構造のものよりも高い性能を提供
- 10 ギガビットイーサネットを 100m 伝送可能
- 伝送周波数帯域は 500MHz
- 絶縁と芯線のよりを強くすることにより、エイリアンクロストーク特性を向上
- 径を太く (23AWG) することにより、低抵抗、低温、低電力損失を実現
- 1 か所で大規模な設置を計画する場合には、占有面積も大きくなることに注意
CAT6A イーサネットケーブルなら何でも良いわけではない
リスクを理解して回避し、高品質なケーブルを探し、定評あるメーカーを選定することで、構築したインフラの長期的な安定運用を実現できます。
PoE のパフォーマンスは、粗悪ケーブルや意図的に誤ったラベルを貼られたケーブルによりダメージを受けることがあります。
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