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G.703 について

G.703 について


デジタル高速回線のインタフェースに関する ITU-T 規格である G.703 は、すべての電気通信ネットワークの基礎ですが、その実現への道のりは険しいものでした。Alexander Graham Bell が 1876 年に電話機を発明してから Bell 社のエンジニア Harry Nyquist がデジタル音声伝送を予想するまでには、さらに 50 年以上かかることになります。

1920 年代を電信速度の研究に費やした Nyquist は、1933 年に音声のデジタル化を決めました。アナログ音声パターンは 1 秒間に 8,000 回サンプリングする必要があり、すぐには実用化に至らず、電話はデータ通信よりもはるかに長い時間をかけて進化してきました。

もともと音声チャネルは、各音声チャネルに対して 3.4kHz の帯域幅を割り当てた周波数分割マルチプレクサによって多重化され、各多重チャネル間のガードトーンでクロストークや干渉を最小限に抑えました。アナログ多重化の最初の形式でしたが、音声信号の品質は良いとは言えませんでした。

次に、デジタル化が登場します。8 ビットの電話音声は 1 秒間に 8,000 回サンプリングされ、その式は、8 x 8,000 = 64,000(64kbps)です。このデジタル化手法はパルスコード変調(PCM)と呼ばれ、G.711 規格に詳細に定義されています。信号の振幅範囲を送信前に圧縮し、受信時に伸張することで、PCM でアナログ音声信号をデジタル形式にエンコード(または “量子化”)のためサンプリングするビット数を最小にしています。この圧縮と伸張(コンパンディング)には、ヨーロッパで使用されている A-Law と、北米と日本で一般的な Mew-Law(または μ-Law)の 2 種類のエンコード方式があります。

G.703 の物理インタフェース
G.703 は、デジタル E1 インタフェースの物理的特性と電気的特性に関する規格です。データは平衡(120Ω)ペアか不平衡(デュアル 75Ω)同軸ケーブル上を移動します。RJ-45 コネクタは平衡インタフェース用に使用され、1 組の BNC コネクタは不平衡インタフェース用に使用されます。両方とも、7 層 OSI モデルのレイヤ 1(データリンク層)内で動作します。

英国で最初の電話会社である BT® が、75Ωの BNC コネクタを使用して G.703 インフラを構築しました。市場が競合に開放されたとき、英国のほとんどの通信会社に BT® の既存のインフラの使用が許可されたので、彼らはこの同じ規格と同じインタフェースを厳密に守ってきました。しかし、ヨーロッパの PTT では、RJ-45 コネクタの 120Ω インタフェースが採用されています。

論理的な表現では、非構造化と構造化の 2 種類があり、違いは次のとおりです。

  • Unstructured / Unframed / Clear Channel™ G.703 はヨーロッパの E1 回線では 2.048 Mbps 、北米 T1 回線では 1.544Mbps の速度を提供します。
  • Structured / Framed G.703 は、64kbps ステップで 64kbps~1.984Mbps の速度を提供します。また、「フレーム」サービスとも呼ばれます(G.704 仕様では、G.703 がフレームモードで動作。Structured G.703 では、タイムスロット 0 と表示されている最初の 64K タイムスロット内でビットエラー監視用の CRC-4(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査-4)を実行するオプションもあります。

G.703 によるライン符号化
ライン符号化とは、すべての 1 と 0(つまり、実データ)を実際のワイヤに物理的に配置する方法です。G.703 は、欧州では HDB3(High-Density Bipolar 3:高密度バイポーラ 3)、北米では AMI(Alternate Mark Inversion:交互マークインバージョン)と B8ZS(Bipolar 8-Zero Substitution:バイポーラ 8 ゼロ置換)符号化システムを使用しています。それらはすべて 7 層 OSI モデルのトランスポート層(レイヤ 2)上で動作します。

これら全てのライン符号化技術は、3 レベル符号化方式です。一般的にマーク “1” とスペース ”0” を表す 2 レベル方式が多いデータ通信プロトコルとは対照的に、3 レベルシステムは状態の変化(例えばクロックを含むなど)も表現できます。この方式は、線間の電圧バランスをとるために使用され、さらに重要なことに、データとともにクロックも符号化します。信号は 1V のピークツーピーク信号です。

フレームサービスと非フレームサービス
先に述べたように、2 つのサイト間の G.703 サービスはフレームサービスでも非フレームでもよく、 非フレームは 2.048Mbps で動作し、データ速度は決して変わりません。しかし、フレームサービスでは、2.048Mbps のデータストリームを 32 個の 64K タイムスロットに分割します。最初のタイムスロットは、フレームサービスの初期設定だけでなく、回線の一端から他端への追加情報伝送にも使用されます。この結果、ユーザデータ速度は 1.984Mbps となります。

PTT によって提供されるサービスのタイプは、通常、非フレームです。英国以外のヨーロッパの地域ではエンドツーエンドのフレームサービスを要求することは可能ですが、英国では要求できません。

PDH Network Mountain

各端に複数の装置を接続する場合は、G.704 フレームサービスに対応したマルチプレクサを使用する必要があります。これによってのみ、マルチプレクサがバンド幅をブロックに分割し、各エンドユーザの装置に割り当てることができます。装置が G.704 フレームサービスに対応していない場合、複数の装置に適した方法で帯域幅を分割することはできません。しかし、単一のエンドユーザ装置だけに対応する場合は、 G.704 フレームサービスへの対応は不要であり、セットアップがはるかに容易です。実際には、クロックを内部的に(マスターモードで)生成するか、ネットワークを介して外部(スレーブモード)から受信するかにかかわらず、クロックソースを選択するだけです。

PBX シグナリング技術
PBX シグナリングには、CCS(Common Channel Signaling:共通チャネルシグナリング)と CAS(Channel Associated Signaling:チャネル連携信号 ) という 2 つの主なタイプがあります。

CCS はタイムスロット 16 を使用して、PBX 間でプロトコル(定義されたメッセージセットか接続装置に共通の命令)を伝送します。そのプロトコル内では、30 の音声チャネルごとに、ハンドセットが持ち上げられたか、番号がダイヤルされたか、着信音か、エンゲージトーンなどの情報に関連してメッセージが交換されます。

CCS プロトコルは次のとおりです。

  • QSIG:2 つの ISDN PBX 間で使用されます
  • Q.931:ISDN PBX と外部の間で使用されます
  • デジタルプライベートネットワークシグナリングシステム(DPNSS):2 つの非 ISDN PBX 間で使用されます
  • デジタルアクセスネットワークシグナリングシステム 2(DASS2):ISDN 以外の単一の PBX と外部の間で使用されます
  • CCITT7:広く普及しているプロトコルのもう 1 つの例です。ナンバー 7 、システム 7 、共通チャネルシグナリング #7 とも呼ばれます

G.704 タイムスロット割り当て

G.704 Timeslot Allocation


図では、2.048Mbps G.703 リンクでの G.704 フレームタイムスロットの割り当てを示しています。各タイムスロットは 64kbps(64K)です。そのため 1 秒のデータは 2.048 メガビットのデータ(1 と 0)を、1 つが 64k のデータからなる 32 個の均等なタイムスロットで構成しています。これは G.704 フレームサービスと呼ばれ、第 1 のタイムスロット(タイムスロット 0)は、G.704 フレームサービスを開始するためにエンド装置によって使用されます。

そこに 3 つの同期ビット、CRC-4 、国内ビットか国際ビット(回路の使用に依存する)が含まれています。 製造業者の中には、これらのビットを使用して、リンクを介して遠隔管理情報を送信します。タイムスロット 0 の後には別の 31 タイムスロットがあり、それぞれがユーザデータ(音声、データ、ビデオ)に使用できます。唯一の特別なタイムスロットはタイムスロット 16 で、PBX 間では、ハンドセットの持ち上げ、番号のダイヤル、着信音などのシグナリング情報の伝送に使用します。
この情報は任意のタイムスロット(タイムスロット 0 以外)で搬送することができますが、伝統的にタイムスロット 16 を使用しています。CCS と CAS は PBX / 交換シグナリングの主な 2 つのタイプです。

CAS は、32 個のタイムスロット(0~31)内のタイムスロット 16 のビットを使用して、30 の音声チャネルのそれぞれの状態を表します(上記の図を参照)。タイムスロット 16 には 8 ビットが存在し(他の 31 個のタイムスロットの場合と同様に)、完全な E1 / T1 フレームで 2 つのタイムスロットに関する情報を運びます。すなわち、8 ビット内で、最初の 4 ビットは第 1 のタイムスロットを表し、最後の 4 ビットは第 2 のタイムスロットを表します。第 1 のフレームはタイムスロット(音声呼)1 と 17 を表し、次のフレームはタイムスロット 2 と 18 を表し、以下同様に 15 と 31 まで表します。 16 フレーム合わせて、“スーパーフレーム”(または “マルチフレーム”)と呼ばれ、すべてのチャネルに関する情報の提供に必要です。