G.703 - すべての遠距離通信ネットワークの基礎
G.703は、ITU-T規格で、デジタル高速回路がどのようにインタフェース接続するかを定めており、すべての遠距離通信ネットワークの基礎となっています。元々、音声チャンネルは周波数分割多重伝送装置によって一緒に多重送信されていました。各音声チャンネルは 3.4kHzのバンド幅に割り当てられ、各多重伝送装置のチャンネルの間のガードトーンが混線や干渉を最小限に食い止めていました。これはアナログ形式初の多重化でしたが、音声信号の質が良くありませんでした。
そしてデジタル化が起ったことにより、8ビットの電話の音声が、毎秒8,000回サンプルされるようになりました。その計算式は8x8,000=6,4000、または64kbps となります。このデジタル化の方法は、パルス符号変調(PCM)と呼ばれ、G.711規格で詳細が定められました。
コンパンディング
コンパンディングとは、信号の振幅が送信前に圧縮され、受信されると伸張される過程のことを言います。これは、エンコードされる前に、PCMがアナログ音声でサンプルしなければならないビット数を最小限に抑えるか、もしくはデジタル形式で「量子化」します。コンパンディングは、2種類のエンコーディングで利用できます。1つはヨーロッパで使われているA-lawで、もう1つは北米や日本で一般的なMew-law(またはµ-Law)です。
G.703は物理的インタフェースです。
G.703は、デジタルE1インタフェースの物理的、電気的特徴を扱う特定の規格です。この規格のもとで、データは平衡(120ohm)対ケーブル、もしくは非平衡(デュアル75ohm)同軸ケーブルを移動します。平衡バージョンではRJ-45コネクタを使用し、非平衡インタフェースではBNCコネクタのペアを使用します。両方とも、7層OSIモデルの第1層(データリンク層)で動作します。
さらに、2つの論理的なプレゼンテーションがあります。非構造化のものと構造化したものです。その違いは以下のようになります。
- Unstructured/Unframed/Clear Channel™ G.703は、ヨーロッパのE1ラインで実行した場合、完全な2.048Mbpsのバンド幅を、北米のT1ラインを介した場合には1.544Mbpsのバンド幅をユーザに提供します。
- Structured/Framed G.703は、ユーザーに64kbps~1.984Mbpsのバンド幅を64kbpsステップで提供します。これはまた「フレーム」サービス(G.704仕様はフレームモードでどのようにG.703が動作するかを定めています)とも呼ばれています。構造化G.703を利用する場合、タイムスロット0(ゼロ)とラベルされた最初の64Kタイムスロット内でビットエラーを監視するために、巡回冗長検査4(CRC4)を実行するオプションもあります。
G.703におけるラインエンコード
ラインエンコーディングとは、物理的回線にすべての「1」と「0」(実際のデータ)を付番する方法です。G.703は、ヨーロッパではHigh-Density Bipolar 3(HDB3)、北米ではAlternate Mark Inversion(AMI)ならびに Bipolar 8-Zero Substitution(B8ZS)を含むエンコーディングシステムを使用します。これらはすべて、7層OSIモデルのトランスポート層(第2層)で動作します。
これらすべてのラインエンコーディングの技術は、3レベルのエンコーディングスキームです。大多数のデータ通信プロトコルが「1」をマークしてスペースを「0」とする2レベルのスキームであるのに対し、3レベルのシステムでは追加のな状態変化を許容します(たとえばクロックを含めるなど)。このスキームは、回線全体の電圧のバランスをとり、さらに重要な点として、データ構造とともにクロックをエンコードするために使用されています。この信号は、1Vp-pの信号です。
フレームサービス vs. 非フレームサービス
先述の通り、2つのサイトの間のG.703サービスは、フレームまたは非フレームで行われます。非フレームサービスでは、2.048 Mbpsで実行され、データレートはいかなる方法でも分割しません。しかしフレームサービスでは、2.048Mbpsのデータストリームを32の64Kタイムスロットに分割します。最初のタイムスロットは、まずフレームを設定するために使用されますが、回線の片方の端からもう片方へ追加の情報を運ぶためにも使用されます。このような使用は、特に国際的なサービスにおいてよくみられます。その結果、ユーザデータに利用できるのは1.984Mbpsとなります。
PTTが提供するサービスの種類は、通常非フレームのものです。ヨーロッパの他の地域から、エンドツーエンドフレームサービスを注文することは可能ですが、英国では注文することができません。
G.704
それぞれの端に幾つかの機器を接続する必要がある場合には、G.704フレームをサポートするマルチプレクサを使用する必要があります。これによってのみ、バンド幅をブロックに分割し、各エンドユーザの装置に割り当てることができます。機器がG.704フレームをサポートしていない場合には、複数機器をサポートするのに最適な方法でバンド幅を分割することはできません。しかし、単一のエンドユーザ機器のサポートのみが必要な場合には、G.704フレームのサポートは必要ないので、非常に簡単に設定ができます。実際、この設定はクロック源の選択を含むだけなので、クロックを内部的に生成(マスタモードで)することも、外部的にネットワーク全体で受け取ることも可能です(スレーブモード)。
さらに詳しく: IEEE 1284 - パラレルプリンタインタフェース