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ワイヤレスアンテナ | Black Box データ通信用語事典

ワイヤレスアンテナの選択



ネットワークの重要な要素


成功するワイヤレスネットワークの運用に重要な要素の1つは、適切なアンテナを持つことです。アンテナは、異なった形状およびサイズがあり、それぞれが特定の機能のために設計されています。ネットワークに適切なアンテナを選ぶことは、最適なネットワーク パフォーマンスを達成するのに不可欠です。加えて、適切なアンテナを使用すれば、アンテナやアクセスポイントの数が減るため、ネットワークのコストを削減することができます。 基本的にワイヤレスネットワークは、データ、音声、ビデオ情報パケットから成り、ファイバ回線の光を介してあるいは銅ケーブルで電気的送信の代わりに、低い周波数の電波を介して伝送されます。アンテナは放射器として働き、ちょうどラジオ局やTV局のように空中を介して電波を送信します。アンテナは空中からの電波を受信し、ラジオやテレビ、またはワイヤレスネットワークの場合にはルータやアクセスポイントなどの受信機器に転送します。


役割
アンテナの種類は、設定しているネットワークの種類と必要なカバレッジに依ります。必要なネットワークの大きさは、自宅用か、シングルオフィスやキャンパス、あるいは大きいかで変わりますし、ポイントツーポイントかマルチポイントでも変わります。

建物の壁や床などの構造も、必要なアンテナの種類と数量に影響を与えます。加えて、物理的な範囲もアンテナの選択に考慮すべき点でもあります。もちろん、見通し距離が最適ですが、樹木、建物、丘、水などの障害物も考慮する必要があります。(電波は水中よりも地上のほうが速度が速い)都市部での交通ノイズも考慮の対象になります。


理想的な形状
アンテナの種類を見てみましょう。

  • 等方性アンテナ まず、古いRKO映画への始まりを思い出してください。巨大な塔が世界のてっぺんに立って、すべての方向に球形の電波を発します。実際に電波を見ることができれば、塔の周りに完全な球体を形成することになります。このタイプのアンテナは、等方性アンテナと呼ばれ、実際には存在しません。それは理論上のものであり、実際のアンテナを測定するための基準として使われます。

適切な方向に
では、実際のアンテナに話を進めましょう。異なる方向や種類、形状、そして異なる平面上に電波を放射するアンテナにはさまざまなタイプがあります。まず、球状の等方性アンテナを考えてみてください。両端から圧迫されると、車輪のような形となり、垂直平面上に電波を集中させます。上から圧迫されると、パンケーキのような平坦になり、水平面上に電波を放射します。よって、アンテナには、指向性と無指向性の2つの基本的なタイプがあります。


指向性アンテナ
指向性アンテナは、主にポイントツーポイント ネットワークで使われ、狭いビームに光を集める懐中電灯のように、一方向に電波を集中します。指向性アンテナには、バックファイヤー型、八木型、パラボラ、パネル、そしてセクタがあります。

  • バックファイヤー型 この小さな指向性アンテナは、中央にブリキ缶があるようなパンケーキに見えます。屋外で使用するために邪魔にならない実用的な作りで、概ね直径28㎝以下でコンパクトに設計されています。このアンテナは高ゲインで、ポイント ツー ポイントと、ポイント ツー マルチポイントシステムの両方で使用できます。

  • 八木型 八木・宇田(または八木)アンテナは、日本人発明者にちなんで命名されました。アンテナはもともとレーダ用に設計され、現在はよく802.11ワイヤレスシステムで使用されています。
    八木アンテナは、高い指向性があります。中央の脊柱に直角にロッドまたはディスクが一定の間隔で並べられた長い魚の骨のように見えます。八木アンテナは、高いゲインと大きな垂直方向性を提供します。このアンテナは長ければ長いほど、より放射が指向性をもちます。八木アンテナの多くはPVCで覆われ、内部構造を見ることができません。
    八木アンテナは、細長いエリアでのポイントツーポイントリンクのを作成(例えば、谷間の遠隔ポイントへの接続)する、また、建物間のポイントツーポイントリンクに適しています。また、ポイントツーマルチポイント ネットワークの範囲を拡張するためにも使われます。

  • パラボラ/ディシュ型 これらのアンテナは、円形または凹形ボウルや「皿」のように見えます。バックボードは、平板か網目の設計です。網目状のパラボラ型は、その間を風が抜けるために屋外での使用に優れています。この設計における凹面特性により、エネルギーを狭いビームに集中でき、さらに数km先までの長い距離を伝播できます。ポイントツーポイントのネットワーク接続においてパラボラアンテナが理想的な理由です。水平/垂直面の両方で、狭いビームを生成できるので高いゲインをもたらし、干渉を最小限に抑えます。長距離ポイントツーポイントネットワークに理想的です。

  • パネル(平面)/パッチ型 このアンテナは、多くの場合、正方形か長方形で、よく壁面に掛けられています。背面以外の、前方水平方向や側面方向に放射するように設計されています。「額縁」アンテナとも呼ばれます。
    パネルアンテナは、アクセスポイントが建物の片側にあるアプリケーションに理想的です。建物の1フロアを見通すにはOKなので、中小規模の住宅やオフィスに最適です。垂直放射があまりないので、複数階へのアプリケーションには向きません。
    パネルアンテナは簡単に隠せるため、美観が大切な場合には最適です。

  • セクタ セクタアンテナは、特定のエリアに電波を向けるアンテナタイプです。大型が多く、屋外のフラットパネルやパラボラアンテナで、高い位置で地上に向けて傾斜して取り付けられています。このアンテナは、広いエリアをカバーするために広大なキャンパスでよく使用されています。


無指向性アンテナ

無指向性アンテナは、できるだけ広い範囲をカバーし、通常ポイントツーマルチポイント ネットワークで使用されています。その範囲は、複数のアクセスポイントからのカバー範囲の円をオーバラップさせて拡張できます。無指向性アンテナのほとんどは、水平面上に扇形の電波を発します。無指向性アンテナは、指向性アンテナよりゲインが低くなります。無指向性アンテナの例としては、内蔵型、ブレード型、天井用があります。

  • 内蔵型 内蔵型アンテナは、ワイヤレスネットワーク 機器に内蔵されたアンテナです。アンテナは、アクセスポイントのように、PCカードクライアントアダプタや、ラップトップなど、機器のカバーや筐体に埋め込まれています。内蔵型アンテナは、外付けアンテナと同じような受信でなかったり、弱い信号を拾わないことがよくあります。内蔵型アンテナを備えたアクセスポイントは、多くの場合、十分な電波の受信を得るため移動したり、傾けたりしなければなりません。

  • ブレード型 この小型の、無指向性アンテナは、細長いプラスチックのカバーに収納されています。弱い信号や無信号のスポットで信号を拾うためによく使われます。仕事スペースの壁面やデスクトップの上に取り付けられたり、仕事スペースの上に掛けられて、信号をキャッチします。このタイプは、基本的に安価な信号ブースターです。

  • 天井ドーム型 天井ブリスターアンテナとも呼ばれています。一見、煙検知器のように見えますが、天井や、特にドロップシーリングで目立たないように使うために設計されました。天井ドームアンテナは、アクセスポイントに簡単に接続するためのピッグテールを持っています。キューブファームで広いカバレッジを必要とする企業環境での使用に優れています。

電波の基礎
ワイヤレスアンテナとネットワーキングを理解するために、以下、必要な基本的な測定値や用語になります。


ゲイン
- アンテナにおける主な測定値の1つはゲインです。ゲインは、dBiとして測定され、0dBiのゲインをもつ理論的な等方性アンテナと比較した時、アンテナが送信機の電力をどのくらい増加させるかを示すものです。dBiはアンテナが送信機の出力に提供する真の利得です。ゲインは相互的で送受信で同じです。高いゲインは、強く送信、そして受信された信号を意味します。ゲインの基礎を覚える簡単な方法は、3dB毎のゲインの追加が、アンテナの実効出力電力を2倍にさせるということです。アンテナが信号を集中すればそれだけ、より高いゲインを持つことになります。
実際には、デシベル単位でシステム部分のゲインと損失を合算することで、システムのゲインと損失を計算することができます。


周波数と波長
- 電磁波は、周波数と波長の2つの成分から構成されています。

周波数は毎秒発生する電波の数です。波長は、波形のピークと次の波形のピーク間との距離のことです。低い周波数では長い波長を持ち、高い周波数では短い波長を持っています。例えば、AMラジオの周波数は1MHzで、波長は約300mです。FMラジオは、はるかに高い周波数で100MHzで動作し、約3mの波長を持っています。

ワイヤレスネットワーキングに最も一般的な周波数は、2.4GHzと5GHzの2つです。どちらも、マイクロ波帯で、非常に短い波長で非常に高い周波数になります。2.4GHzの周波数は、約12.5cmの波長になります。


ビーム幅
- 懐中電灯やスポットライトのようなアンテナを考えてみましょう。反射して特定の方向に光(または電波)を返します。ビーム幅は、実際にどのくらいエネルギーが集められているかを測定します。


偏波
- これは、垂直、水平、または円状に、アンテナが波長を放射する方向のことです。垂直アンテナは垂直偏波を持っており、最も一般的です。最適なパフォーマンスを得るために、送信側と受信側のアンテナは同じ偏波を持つことが重要です。


VSWRとリターンロス
- 電圧定在波比(VSWR)は、使われている周波数において、アンテナが回路網にどれだけマッチしているかを測定します。これは、受信信号がどれくらいトランシーバや受信機に到達しないかを示します。リターンロスは、アンテナがどれくらい回路網にマッチしているか示します。有効なVSWR値は1:1.2か1:1.5です。有効なリターンロス値は20です。


もっと知りたいときには、

ネットワークの設定構築にアドバイスが必要でしたら、いつでもお問い合わせください。Black Box のテクニカルサポートは、環境に合った機器をご提案いたします。